ただの日差し
僕は今、某マッサージ屋で働いているのですが、そこで同じく働くSという男がいます。
ある日、勤務がかぶり、一緒に働くことになりました。
いつものようにお客さんをもみほぐし、見送る時ふと、
なんか業務外のことを喋ったほうが親しみやすさを感じてもらえるかな と思い、何か探しました。
外を見ると、天気がいい。これだ。
僕(外を見ながら)「今日は~…天気が~いいから~日差しがまぶしいですね~」
客(靴を履きながら)「いいですね。今日はあったかいですよ。ありがとうございました。また来ます。」
僕・S「ありがとうございました」
お客さんがドアを閉めた後、カウンターに立っていたSが急に笑いはじめました。
なんで!?と聞くと、僕がお客さんに「日差しが…」と話しかけたとき、あまりにぎこちなかったようでそれが面白かったようです。
時間が経ち、また別のお客さんが来店し、今度はSがお客さんを見送り、僕がカウンターに立っていました。
お客さんは椅子に座り、水を飲んでいました。Sはお客さんの斜め前に立ち、外を見ています。
ん…?
違和感を感じ、まさか…と思っていたら、Sは顔をしかめつつ外を見ながら、
「今日天気いいっすね~日差しが~まぶしいですね~」
と言いました。
かぶせてきやがった!
やっぱりあの外を見るしぐさ!!準備してたんか!なんか言うと思ったがやっぱりか!
そのお客さんを見送ったあと、二人でひとしきり笑ったのでした。
今日も何事もなく仕事を終えることができて、良い一日でした。